脳卒中OTは何を見て患者像を組み立てているのか
こんにちは。まるてぃです。
社会人になって初めて脳卒中患者さんを担当するようになった頃の私は、とにかく評価項目を埋めることに必死でした。
まるてぃJCS、GCS、FMA、BRS、ROM、MMSE、FIM…
とにかく評価をしなければ!!
評価用紙の空欄をなくすことが「良い評価」だと思っていたのです。しかしながら経験を重ねるにつれて気づいたことがあります。
「評価をすること」と「患者さんを知ること」は別物!!
ということです。
例えば同じFunctional Independence Measure(FIM)60点の患者さんでも、抱えている問題や退院後の生活はその方その方で全く異なってきます。それはそうですよね。
同じ生活をしていた人なんていませんから。
そのため私は初回評価の際、検査結果だけではなく「患者像を組み立てるための視点」を意識しています。ここ大切ですね。



今回は、私が初回評価で特に注目している7つの視点をご紹介します。
この人は何に困っているのか?
まず最初に考えるのは、



この人は何に困っているのか
ここです。
脳卒中患者さんを前にすると、どうしても運動麻痺や高次脳機能障害に目が向きがちです。私自身もそうでした。油断すると機能的な面に目がいきます。
しかし患者さんにとって重要なのは疾患ではなく生活です。
・トイレに行けない
・箸が使えない
・孫を抱っこできない
・仕事に戻れない など…
患者さん自身が何に困っているのか。
私はまずそこから理解するようにしています。
なぜできないのか
次に考えるのは



なぜできないのか
例えば更衣動作ができない理由、その原因は一つではありません。
・上肢や下肢の運動麻痺
・感覚障害
・半側空間無視、注意障害、失行などの高次脳機能障害
・体力低下
色々な原因が考えられます。ただ【できない】を観察するのではなく、その背景にある要因を探ります。
治療は問題に対して行うものです。原因を見誤ると、介入も的外れになってしまいます。
どのくらい回復しそうか
初回評価では予後予測も重要な視点です。
もちろん未来を正確に当てることは中々に難しいです。
しかし、
・発症からの日数
・麻痺の重症度
・年齢
・既往歴
・画像所見
などから、おおよその見通しを考えます。予後予測は諦めるためではありません。
あくまで適切な目標設定を行うために必要な分析になる作業の一つです。
本人は何を望んでいるのか
患者さんの目標と、私たち医療者の目標は必ずしも一致しません。
例えば私たちはまずトイレの自立や更衣の自立
歩行能力の改善を目指していても、患者さんは
「早く家に帰りたい」
「仕事に復帰したい」
「趣味を再開したい」
と思っているかもしれません。よく耳にするのではないかなと思います。
そのため私はできる限り早期に



退院後に何をしたいか
というお話を2~3回の介入で質問をすることが多いです。
すぐには退院後に何がしたいかと言う思いに沿うことができないかもしれません…
ですがそこには治療のヒントや患者さんの本当の思いが入っていることが多いと思います。なのでまず聞きます。
家族は何を望んでいるのか
脳卒中リハビリは患者さんだけで完結することはできません。
特に退院後の支援では家族の存在が大きな意味を持ちます。
ですから私はできるだけ早い段階で、
・誰と暮らしているのか
・お家はどのような感じであるのか
・家族はどのように考えているのか
・介護力はどの程度あるのか
などを確認します。
本人と家族の希望が異なることも少なくありません。むしろ多いのではないでしょうか。
一人の希望だけではあまりにも危険になります。だからこそ両方の声を聞くことが大切です。
退院後の生活はどうなるのか
評価は病棟内だけで完結するものではありません。
退院後の生活を想像しながら評価することが重要です。
例えば、
・独居なのか
・配偶者と同居なのか
・階段はあるのか
・仕事は何をしていたのか
・経済面はどうなのか
などによって必要な能力は変わります。
例えば同じ歩行自立だったとしても、
自宅復帰を目指す患者さんと職場復帰を目指す患者さんでは求められるレベルが異なります。より適切な介入をするうえで必要な評価となります。
私の介入で何が変わるのか
最後に考えるのは



私が介入することで何が変わるのか
です。
そもそも評価は行うことが目的ではありません。介入につながって初めて意味を持ちます。
私は評価の最後に
・今の問題は何か
・優先順位は何か
・明日から何をするのか
・今後はどのような予後をたどるのか
などを整理するようにしています
患者さんを理解することと、信頼関係を早くに築くこと、治療につなげることはセットです。
信頼してもらわないと上手くいかないケースも度々経験してきました。
エビデンスのある治療、どんなに上手である方々がいたとしても
やはり信頼を得られるのと得られないのでは進み方が全然違います
とても大切にしているポイントですね
おわりに
いかがでしたか
新人時代の私は、評価用紙を埋めることに一生懸命でした。
しかし今振り返ると、本当に大切だったのは病態や数値そのものではなく



その人自身を理解しようとすること
だったように思います。
なので今、私は初回評価で
- 何に困っているのか
- なぜできないのか
- どのくらい回復しそうか
- 本人は何を望んでいるのか
- 家族は何を望んでいるのか
- 退院後の生活はどうなるのか
- 私の介入で何が変わるのか
という7つの視点を意識しています。
もちろん完璧に把握できることは難しいです。
それでも、この7つを意識するだけで「評価をする」から「患者さんを理解する」へと視点が変わります。
初回評価で大切なのは、検査結果を集めることではなく、その人らしい生活を想像することなのかもしれません。
次回は
「更衣ができない」の裏には何が隠れているのか?
次回は、私が初回評価で最も時間をかけている
『なぜできないのかを考える視点』
について、実際の臨床例を交えながらお話ししたいと思います。
最後まで読んでくださりありがとうございました。

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